何を自分の財産と思って生きていくのか ラグーナ出版 森越まやさん 川畑善博さん

ラジオ書き起こし版の第3弾は、2022年6月と7月に放送されたラグーナ出版ご出演の回(3回分)をお送りします。過去の書き起こし版は第1弾の1(前半)第2弾の1(前半)をご覧ください。

今回は放送第2回目の前半部分をお送りします。

♪~

宮田:壹岐敬のイキイキラジオ「未来への種まき」。今回は前回に引き続き、株式会社ラグーナ出版・代表取締役会長、森越まやさん。代表取締役社長、川畑善博さんをゲストにお届けします。お二人今回も、よろしくお願いします。

森越・川畑:よろしくお願いします。

宮田:改めましてゲストにお迎えしている、株式会社ラグーナ出版について「鹿児島県鹿児島市に本社を置く出版社で、出版・印刷物制作・製本事業を通して、精神障害者の就労継続支援、自立支援事業を行っています。精神医療福祉の経験と、出版の技能を活かして、地域に愛され、役立つ会社づくりを目指されている」ということで、前回はこのラグーナ出版の立ち上がりの部分についてお話をお聞きしました。

壹岐:この番組では色々な会社ご紹介していますし、私もいろんな会社を存じ上げていますけど、普通、創業の志、想いと言うと、経営的なちょっと難しい表現ですけど、いわゆるどういう顧客を創造しようかとかね。要するに、どんな需要に対してどんな商品やサービスを供給しようかとか。やっぱりマーケティング的な発想がないと商売が成り立たないというか。僕なんかそういうことばかり考えている人間なので、もちろんそういうタイプの方もこの番組出ていただきますけど、前回の森越さんのお話を聞いていまして、創業の原点が「言葉を届けたい」からだということでした。

それはある意味…どうなんですか、森越先生、医療的な立場ともまたちょっと違うんじゃないですか。もっと純粋な何か、そんな気がするんですけど・・・。

森越:そうですね。精神科の治療としては、どのぐらいを負荷とするか、あまり侵襲しない関係性とか、関係性をすごく気を付けていくところなので、一緒に仕事をするとか・・。

壹岐:ある意味、勇気がいることですよね。

森越:そうだと思います。目の前にいる人と一緒にやるってことについてはそうですね。一緒にやれると思うことをやってきたっていうことですね。それは、教科書通りではないと思うんですけど、そういうことの積み重ねでした。

壹岐:前回「私たちは障害はあるけれども不幸ではない」と思っておられるということを届けたいとおっしゃっていましたが、ものすごく深い言葉だと思うんですけど。

森越:例えば病気になったら、普通はもうこの先はないかもしれないと思う。でもその先があったってことなんですね。

壹岐:本人よりも家族とかがみんなそう思っちゃったりしそうですね。

森越:そうなんですね。精神科の病気は誰もがなっておかしくないというか、誰もがなり得る病気であるのにも関わらず、病気になったあとの大変さっていうのは病気そのものの大変さよりも回復していくときの社会との折り合いとか、違う二次災害・三次災害が多い病気だと思っていて・・。

壹岐:それはある意味、何をもって幸福とするか、幸せと感じるかということにかかってくるわけですよね。

森越:その通りだと思います。病気から何を学ぶか。これも患者さんたちの言葉から聞いた言葉ですけども、「自分は統合失調症を財産だと思って生きよう」っていう方とか、病気を自分の人生の中で大切なものとして抱えて自分なりに生きていくっていう生き方をしてる患者さんたちがたくさんいらっしゃると思うんです。

彼らは、声高に話さないので、社会の中でその声は聞こえないんですけど、そうやって生き抜いている方たちがいて、私たちの生活の中でちょっと立ち止まったり、自分のことを振り返ったりするときに、彼らの言葉に力づけられることがたくさんありました。

壹岐:僕も、色々な経営に携わっている方とお付き合いをさせていただいてく中で、そういう企業のトップの立場にある方で迷いが生じる方には共通することがあるんですね。それは何かというと、他の会社とか、ほかの経営者と自社とか自分をすごく比べちゃうんです。うちはあそこほどあれじゃないからダメなんだとかね。

誠に僭越ではありますが、そういう方にいつも申し上げているのは「あなたはあなたで素晴らしいですよ」と。「なんで他の会社と比べるんですか。他の人と比べる必要なんかないじゃないですか」と。「あなたはあなたで素晴らしいのに、なんでうちの会社は他よりも何がないとかあれがないとか、あの人はこういう大学出てるけど俺は出てないとか、そんなことで悩まれるんですか」と。まぁすごく偉そうな言い方すると、もっと自尊心というか、自分は自分で素晴らしい存在だっていうのを、ご自分で肯定されれば・・。私なんかからはその方素晴らしい方だと見えるのに、本人がそういう風におっしゃる。結局、そういうことと同じですよね。

森越:本当にその通りです。もしこの人の苦しみが自分に降りかかった時に、自分は耐えられるだろうかというような中でも頑張ってやっていらっしゃるんです。彼らは、誰を責めるわけでもなく、生き抜いているのに、とても社会に遠慮して生きているんですね。たくさんの力を持っているのにそれをのびのび発揮できないまま、遠慮しながら遠慮しながら社会を生きているので、そうじゃなくてもいいんだってことも伝えたいと思います。

宮田:もう少しラグーナ出版さん自体についてお伺いしたいんですけれども、川畑さん、今どのくらいの人数の方がどういった仕事をされているのでしょうか。

壹岐:設立して何年目ですっけ?

川畑:今年で15年目を迎えました。今は仕事が出版ですので、30名ほどのスタッフがいます。仕事で大事にしているのがその人の長所を生かそうということです。なので、部署としては営業部がありまして、もちろん編集部がありまして・・。

壹岐:営業の仕事もそういう方がなさっている?

川畑:そうです。

壹岐:書店さんを廻られたりもするのですか?

川畑:そうです。もちろん最初はスタッフと行ったりしてやり方を教えるのですが、あとはもう1人で任せるようにという形でやっています。あと、もちろん本の制作については、中身を見る人もいるし、デザインする人もいます。

壹岐:私も、この数年で、本を6冊ほど作っていただいたんですけど、デザインや編集も全部やっていただきましたものね。

川畑:それと、一般事務や経理ですね。経理ももう全部任せています。あともう一つは手作りで小部数の本を作るっていう事業がありまして、例えば保育園の経営者の方からお仕事いただいていて、お子さんの誕生日に一冊だけ作る本とかですね。それは製本家がいまして、製本家がこういう風に作るんだよっていうことでみんなで作っています。

壹岐:ミニサイズの“般若心経”の制作とか、古い本の修正とかもしていますよね。僕も愛読書の装丁を全部やり直していただきましたけど、もう無茶なお願いをして、こんな面倒なことお願いしちゃっていいんでしょうかっていったら、ぜひぜひとおっしゃるんで。

川畑:はい、もう紙と布があれば何でもできます。

壹岐:すっごく細かい作業ですよね。

川畑:人数は、全体で33人いまして、その人の適性に合った部署に配属しています。あともう一つ大事なのは、やっぱり体力的な面への配慮でしょうね。やっぱりこの病気は、疲れやすいのが特徴なんです。何よりも、特に気疲れとかですね。そういったことには本当に配慮しています。

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