書き起こし版「人を大切にする経営とは2(前半)」坂本光司さん

過去に放送された番組の書き起こし版です。このシリーズの第1回目についてはこちらをご覧くださいませ。またラジオの音源はこちらでお聴きいただけます。

♪~

宮田:壹岐敬のいきいきラジオ「未来への種まき」この番組は、さまざまな企業の方をお招きし、Seeding for the future「未来への種まき — 100年企業を考える — 」30分です。パーソナリティーは、壹岐敬さん。アシスタントは、レディオモモ、みやたさとみです。

壹岐さん、今回もよろしくお願いします。

壹岐:はい、よろしくお願いします。

宮田:今日は前回に続いて、素晴らしい方をお招きしています。

壹岐:「人を大切にする経営の真髄」に迫る。ということで、「日本でいちばん大切にしたい会社」のベストセラーでも知られております、元法政大学大学院教授で、人を大切にする経営学会会長の、坂本光司先生をゲストにお招きしております。

宮田:はい。壹岐さん今日も、よろしくお願いします。

壹岐:はい、よろしくお願いします。

~CM~

壹岐:坂本先生が荒野で叫んでおられた「人を大切にする経営」といいますかね、これが、今だんだん世の中では主流になりつつある、馴れ初めみたいなものをちょっと話したいと思います。

それはうちの会社の経営理念を作った時の話なんですけど。私はもともと岡山の地の人間でもなんでもなかったんですけども、たまたまセリオという会社の経営参謀的な役割で15年ほど前に当時のオーナーに呼んでいただきまして、同族経営の中で会社をどうやって大きくしていくかということの舵取りをちょっとお手伝いしていたんです。ところが、そのオーナー社長さんが突然お亡くなりになられて、後継がいなかったんですね。そういう中で、その会社には、様々な今までのやり方との軋轢もあったし、業務的には下請け的な仕事が多かったんですけども、会社の業績が不調になりましてですね、社員を何百人も解雇するといったことを経てですね、会社を経営理念から変えてもう一回作り直そうと決意したわけです。それで、社長に就任して約1年経った頃に、坂本先生を訪ねたわけです。ファンレターを書いてね。先生のところにはそういうのが山のように行くと思うんですけど、一人ひとりに本当に丁寧に対応してくださって・・

坂本:壹岐社長だけじゃなくて、私は自宅に来るメールに関しては、この人困ってるなぁという人に関しては大体1週間以内に返事を出すようにしています。ほとんどの方々は見たことも会ったこともない人なんですけどね。

何年か前に中国の留学生からね、一度も日本に来たことがないという人からのメールだったんですけど、私の本の中国語バージョンを読んで、弟子にしてくださいって。当時の法政大学の大学院に入学したいという話なんですよね。そのやりとりがえらい時間かかったり出来ないことがいっぱいあったりしたものですから、その都度応援してあげたんですよね。ただね、最後の方のメールに、「なぜ先生は、見たこともない会ったこともない中国人の私なんかのために、中国に対しては批判をしてるって人も多い中で、こんなことまでしてくださるんですか、って言ってね、ありがとうございますといってくれましたけど。結果的にその子は、法政大学に入学して、卒業して日本のとある会社に就職している女性ですけど、その時に、あなたが、どこの人であれ、学びたいという気持ちがある限り、それを支援するために存在するのが私たち教員ですからといってですね。それが私の使命ですよといって。そういって書いてあげたんですけどもね。涙したといっておりましたね。

壹岐:例えば、こういう「日本でいちばん大切にしたい会社」の本に出てる会社の社長さんを紹介してほしいというときも同じですよね。僕が、日本レーザーという会社の近藤さんという方にとても会いたいんですけどご紹介いただけませんかというと、ああいいよじゃあ今度あそこにおいでとかね。本当にね、厚かましいんですけど、そうやって教えてくださる。普通はゼミ生だけが行くような旅行とかにもご一緒させていただいていいでしょうかとお願いして、いろいろとお連れいただきました。

何年か前には、現在タイのチュラロンコン大学で教鞭をとっている女性の経営学の先生とかね、あの方なんかもそうでしたね。

坂本:その大学は、日本でいうと東大ですよね。

壹岐:そこでとにかく、女性の経営学者なんだけど、坂本先生の経営学をタイで広めたいっていって訪ねてきたんですよね。

坂本:私の「日本でいちばん大切にしたい会社」という本を、タイ語で翻訳して出してもいいですかっていうから、著者の私がいいですよっていうから、お金も一銭もいりませんよといって。しばらくして、できましたといって本を送ってくれたけど。さすがにタイ語は全くわからなくて読んでませんけど・・・

壹岐:なんというか、その方もね、最初は、日本の有名な某国立大学に留学されてらっしゃったんだけど、そこからは学ぶものはなかったと、その大学の名前は言いませんけどね。日本で坂本先生の本を読んで、こっちが本物だ、と・・。

宮田:ということは今タイ語版の先生の本も世に出回っている・・

壹岐:タイだけじゃなく、ベトナムでも、日本の東大に匹敵するハノイ貿易大学とか、そういうところからも招聘されて、教授の方々相手に講義をされています。

宮田:本当にじゃあ世界各国でお名前が知られてるって感じなんですね。

壹岐:ていうかね、僕が、やっぱりすごいなぁと思うのはですね、本に書いている経営を実践されている方が現地にいるということですよね。

これも数年前に、台湾の企業を視察に行った時のことですけど、ルシーディティーという大きな会社に行ったんです。そこは、自動車の照明関係の部品を作っている世界的なメーカーですよ。従業員が2000人ぐらいいるくらい、大工場をもっているすごい会社なんだけど、現地の人の紹介で、そこにほんとにたまたまですよ、なんか2、3日前にアポイント取ったっていって、行ったんですよ。そしたらそこの会長が出てきてですね、「実は10年ぐらい前に中国語に訳された日本でいちばん大切にしたい会社の本を読んで、自分は経営のやり方を全部変えたんだと。その著者がうちに訪ねてきてくれる。こんなありがたいことはないと。もうすごく本当に喜んでくれてね。あの時は、ちょっとビックリしましたですね。

坂本:最初わかんなかったんでしょうね。で、近くになって確認したら一致したんでしょうね。

壹岐:で、うちの会社の経営はこうやってるんだって、パワーポイントで説明してくれて、中国語だったのでちゃんと読めなかったんだけど、その内容はわかりました。先生の本の内容がそのまんま書いてあったんですよ。

坂本:そのままでしたね。

宮田:国内だけじゃなく海外でも実践されているんですね。

壹岐:その会長さんが、もうとにかく見てくれというわけです。先生の本読んで、ここの駐車場をこういう風にしたんだとか、食堂をこういう風に変えたんだとか。やること早いんですよ。行動力がすごいですよ向こうの人の方が。

行動力、実行力と言えば、中国のソートンストローなんかもそうでしたね。中国のイーユウっていうね。浙江省のちょっとだいぶ遠いところなんだけど、新興都市ですよ。昔原野だったみたいなところが、今は人口600万人ぐらいの大都市に変わってるんだけど、そこにストローの会社があるんですよ。ストローの工場って本当に零細みたいな感じでしょ。どう考えても値段は安いし。最初行ったときは、これから先生の経営を学んで頑張りますみたいな感じだったけど、2年後ぐらい行ったらね、もう、とんでもなく発展していました。社員の駐車場を見たら外車のSUBがダーっと並んでて。あれから50件もストローの特許をとったって。さらに、ストローの品質改善のために自分たちでISOの基準まで作ったっていっていましたけど。あの人は、経営を学ぼうと静岡の先生の自宅まで訪ねてきたんですよね。

 

坂本:そうなんですよ。静岡の自宅までね。実際は焼津市ってところで、静岡駅で新幹線降りてから20分ぐらい行ったところなんですけど。そこからまたけっこう時間のかかる田舎に住んでるんですけどね、そこまで来てね。「先生のおかげでここまで来ました。今度はこんなことをしたいと思ってますけど、それが正しいことかわからんから、聞いてくれませんか」といってね。お正月に来たんですよ。1月の確か2日か3日だったと思うんですけど、年賀の挨拶ものを置かれてねえ。中国からそのためにわざわざ菓子折もってね・・数年前ですけど。

そこには、壹岐さんとも改めて訪問したんですけどね。行くと、この人は社員を大切にしていることがわかる。私にはね、口先だけじゃなくて、社員を大切にしてるかどうかってのは、わかるんです。例えば福利厚生施設、あるいは社員の顔つきとか目つき、あるいは会社に入ったときに流れている風、それでわかるんです。プロだからすぐわかりますよ。入った瞬間ほわ~っとするね、そこは社員食堂が美しかったし、下手なレストランより遥かに美しいレストランだったし、いっぱい四季折々の果物がばーっと並んでいてね、それを会社が自由に食べなさいといってね。そういうところだったんだけど。

日本でも、なかなか見つからないような会社でしたね。そのとき、たまたま壹岐さんがいじわるな質問をしたんです。「あなたは儲かったからこんな美しい工場で立派な経営ができるんじゃないですか。儲かったから人を大切にしたんでしょ」って。もちろん壹岐さんはわかってて言ってるんですけども、その方はわかってませんから、そう言われて、怒り顔で、「違います!」と。「社員を大切にしたから、社員がみんながんばってくれて、こんな立派な会社を作ることができたんです。逆です!」と。そう明確に言ってたのがね。思い出深いですよね。

壹岐:なんでそんな質問をしたかと言うと、日本の経営者でそういう風に思ってる方がすごく多いからなんです。例えばね、本当に僭越ながら、我が社が今回社屋を建てたりすると「いいですね壹岐さんところは・・ああやって新しい・・儲かったからできる」・・と。僕は声を大にして言いたい。社員を大切にする、という、僕なんかまだまだできてませんけども、それでもそういうのを経営理念に掲げて、社員が一生懸命やってくれたら、結果がこうなっただけですと。私は、そもそも自分では、ああしたいこうしたいとは考えてない。社員がそうしたいからしただけだと。それがやっと言えるようになってちょっと嬉しいですね。

宮田:まぁこういった、先生の本をもとに海外でも実践・実例が出てきているという中で、また後半も引き続きお話をうかがっていくんですが、ここで一曲ご紹介したいと思います。ポール・モーリアを選んでいただきました。「恋は水色」ということなんですが。いろんな思い出が、蘇ってくるような曲かと思いますので、聞いていただきたいと思います。

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