
書き起こし版「人を大切にする経営とは1(前半)」坂本光司さん
ラジオ放送も回を重ね、内容もますます濃くなってまいりました。少し全体を振り返りつつ、特に印象が深く改めてご紹介させていただきたい回を、「ラジオ書き起こし版」としてご紹介したいと思うようになりました。
真っ先に思い浮かんだのは、2020年11月8日から3回に分けて放送された、私が師と仰ぐ坂本光司先生の回です。
ラジオの音源はこちらでお聴きくださいませ。

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宮田:壹岐敬のいきいきラジオ「未来への種まき」この番組は、さまざまな企業の方をお招きし、Seeding for the future「未来への種まき — 100年企業を考える — 」30分です。
パーソナリティーは、セリオ株式会社・代表取締役CEO壹岐敬さん。アシスタントは、レディオモモ、宮田さとみです。
壹岐さん、今日もよろしくお願いします。
壹岐:はい、よろしくお願いします。
宮田:(放送始まってから今回が)第5回目なんですけれども。
壹岐:今日はですね、この番組を象徴するような回になります。
テーマとしては「人を大切にする経営」の真髄に迫る。
宮田:真髄!
壹岐:真髄です。たぶんこの方しか、真髄は語れない。という方をゲストにお招きしております。
「日本で1番大切にしたい会社」というベストセラーがもう七冊も出ているのですが、そのベストセラーでも知られてらっしゃる、人を大切にする経営学会の会長で、元法政大学大学院教授、経営学者の坂本光司先生です。
坂本先生に、静岡からお越しいただきまして、人を大切にする経営についてお話をしていただこうと思っております。
宮田:はい。壹岐さん、今日もよろしくお願いします。
壹岐:はい、よろしくお願いします。
~CM~
宮田:壹岐敬のいきいきラジオ「未来への種まき」。人を大切にする経営学会・会長の、坂本光司さんです。よろしくお願いいたします。
坂本:よろしくお願いします。
壹岐:坂本先生は、知る人ぞ知るという経営学者でいらっしゃいますが、日本だけではなく、世界各国、特にアジア圏でも有名な方です。私は、坂本先生が提唱されてらっしゃる経営学こそ本当の意味での経営学だと思うんですけど。最近は、日本よりもちょっとアジア圏の方に支持されているような気もしているのですけど・・。
坂本:毎月中国の経営者が、二、三十人、私の話を聞きたいといってこられて。
「私は金儲けの話、いかに会社を大きくするかという話はしませんよ。もっと本質なこと。経営者としてのあり方の話しかしませんから、それでいいですか」と言うと、「まさにそれが目的です」と言って訪ねて来られます。最近は、日本よりはむしろ海外の方が多くて、それも困ったものだと思っているんですけれどもね。
壹岐:先生は、そういう有名な学者ではあるのだけど、大学で学問を学んで、学者になろうと大学に残って勉強してこられたんでなくて、ずっと公務員をなさっていらっしゃったのですよね。
坂本:そうです。雑菌が入っているって自分では言ってるんですけど。この世界に入るのに随分と遠回りしたみたいに思われるかもしれませんけど、私に言わせると、それが一番の近道だったっていうか。
その経験がなかったら今のような経営学って生まれなかったんじゃないかと。
壹岐:職業で学者になろうと思ってなった方じゃないんで、坂本先生の場合。
ひとつは、世の中には立派なことをしている経営者がいるので、もっとその人たちがしていることを世に知らしめたいというのと、
もうひとつは、そういう方々とは真逆の、自分だけが良ければいいというような自分勝手な経営をして、たとえば、人をあたかもコストであるとか、道具のように使い捨てして、苦しめているそれが経営だと思っている人たちに、「その経営は間違っているよ」と警鐘を鳴らしたい、その一心で大学の先生という道を選ばれたのではないかと思うんですけど。
坂本:今、壹岐さんがおっしゃったけど、いかに他社を負かすかとか、いかに利益率を高めるかという経営学ですね。まぁ経営学と言うより業績学というかね。そのためにどううまく社員を活用するかとか利用するかとか。その経営学の下では、ほとんどの社員はコストになっちゃうし、ひどい場合は、外注さん、仕入れ先、納入業者はまるで景気の調整弁のような扱いをしているわけですね。景気が悪くなれば切ればいいとか、景気のバッファとして使えばいいと考えている。「そういう会社の人も人間だぞ」と、そんなことをしている経営者を叱り飛ばすことがちょっとありますけどね。
壹岐:好況の時、放っておいても売上が増えるようなとき、需要がすごく増えた時は、社員をたくさん採用する以外に、外注先、下請け先などの外部の労働力にたよって物をたくさん作るわけですよ。ところがそのピークが過ぎて需要が減ったら、当たり前のようにその人たちを切り捨てちゃう。それが景気の調整弁ということですね。
宮田:人なのか消耗品なのか・・
壹岐:そうそう、おっしゃる通り。
坂本:そういう経営の仕方をね、大学で経営学として教えている。あるいはビジネススクールで教えている。そういう経営学は、私に言わせると間違ってますよね。私は幸か不幸か、アメリカのビジネススクールでも学びませんでしたし、日本の有名な先生のもとについて勉強したってわけでもないものですから。おかしな腐れ縁みたいなこともないものですから。何が正しいか、何が正しくないか。何が自然か、何が不自然かと。一番大切なのは手段でもないし、結果でもない。一番大事なのは目的だろうから、一番大切なものを一番大切にすべきだろうと。
で、何のために私たちは仕事をする?何のために頑張る?何のために生きているってことを考えると、やはり幸せですよね。だから経営の目的というのは人を幸せにするということじゃないのかという、そんなことを現場の中でも経験してきましたよね。それをもう少し広く考えた時に、たまたまですけど、大学の方からお誘いがあってこの世界に入ったっていう。もちろんその世界の方が遥かに長いんですけどね。
壹岐:「経営者の手帳」という本が、今、手元にあると思うんですけど、これの116ページをちょっと開いてみてもらえる?ここに面白いことが書かれてて、マクロでなくミクロが時代を作ると書かれているんですね。ちょっと読んでみてくれませんか?
宮田:はい。『いつも時代も、マクロではなくミクロ。とりわけ尖ったミクロが時代を作ってきた。マクロとは、全体、多数派のことであり、ミクロとは個、少数派のことである。尖ったミクロとは、常人では考えもつかないような斬新な発想や行動をする個人や企業のことであり、中には奇人、変人と呼ばれる人もいる。』
壹岐:ね。これはね、自分のことを先生おっしゃっているんですね。
坂本:そんなことないですよ。(笑)
宮田:日本語でわかりやすくいうと多数派ではなく少数派が時代を作るってことですよね。
壹岐:これ名文ですよね。『しかしいつの時代でも、企業や個人を問わず、奇人変人扱いされるミクロが時代の先駆けとなり、行動を起こし、やがてまるで蜜に蟻が集まってくるように周囲に影響を及ぼしていく。』
本当に学者としては異端中の異端でらっしゃると思います。坂本先生は。
そのベースになる考え方として、この本の26ページにあるところなんですけども、『企業はもとより、全ての組織体の経営の目的使命は、その組織に関わる全ての人々の、永遠の幸せの追求実現だと。企業経営の最大の目的使命は、企業に関係する人たちの幸せの追求実現である。』
これ、実を言うと私の会社の経営理念でもあるんです。別にこれをパクったわけじゃないんですけども。僕も本当にそう思う。だって幸せ、幸福の定義は人それぞれ様々あれど、組織の最終目的はそれでしょうと。その手段としてのお金儲けであったり、利益をあげたり、お給料をたくさんもらったり。それは嬉しいことだしね。事業が成功するのも嬉しいこと。でもそれは目的じゃなくてやはり手段なんです。
坂本:私よくね、すべての私たちの活動、あるいは行動には、目的と手段と結果の三つがあるって言うし、その本の中にもそれは書いてあるのですが、目的と手段と結果がどんな行動にもつきものですよね。
その中で何が一番大事かと思うかと、時々学生たちにも質問することあるんですけども、まぁ手段が一番大事って人はいませんよね。時々結果が一番大事じゃないですか、って人がいるので、その時は、あなたそれは間違ってますよって諭していくんですけども。一番大事なのは、目的ですよ。目的がなければ手段もないし、目的と手段がなければ結果がないわけですから。全ての上位概念が目的ですよね。
今、壹岐さんが読んでくれたように、企業経営であろうが、学校経営であろうが、地域経営であろうが皆同じですけども、その組織に関わる全ての人々が、幸せだと思うようなですね。それなかなか難しいから、永遠の努力をしていかないといかんでしょうね。
宮田:前半かなり、しっかり坂本先生にお話をうかがっているんですけども、後半も引き続きお話を伺いますので。いったん曲の方をご紹介したいと思います。
本日のゲスト・坂本先生からですね、サイモン&ガーファンクルのリクエストいただきまして、「コンドルは飛んでいく」と、まぁもう名曲なので皆さんご存知かと思いますが。何かこう曲に対して思い出といいますか、、
坂本:まぁちょうど私たち高校生とか大学生とかその頃ですから、心揺さぶられるというか・・。
宮田:それでは、お聞きいただきたいと思います。サイモンとガーファンクル「コンドルは飛んでいく」。