
書き起こし版「人を大切にする経営2」坂本光司さん
好評だった書き起こし版の第2弾、今回も坂本先生がゲストの神回です。3回に分けてお送りした回の第1回目の前半部分をお送りします。
このシリーズについては当サイトのカテゴリ「新・生壹岐ですが」に分類してしておりますのでこちらをご覧くださいませ。またこの回のラジオ音源はこちらでお聴きいただけます。

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宮田:壹岐敬のイキイキラジオ「未来への種まき」この番組は、さまざまな企業の方をお招きし、Seeding for the future「未来への種まき ― 100年企業を考える ― 」30分です。パーソナリティーは 壹岐敬さん。アシスタントは、レディオモモ、みやたさとみです。壹岐さん、今日もよろしくお願いします。
壹岐:はい、よろしくお願いします。
宮田:さぁ、今回は・・
壹岐:この番組ならではの、VIPでございます。
宮田:はい。お招きしてお話を3回に渡って聞いていこうと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
~CM~
宮田:壹岐敬のイキイキラジオ「未来への種まき」。今日は、人を大切にする経営学会・会長、坂本光司先生をゲストにお話をお聞きします。坂本先生、よろしくお願いします。
坂本:こちらこそお願いします。
宮田:前回お越しいただいて、もう1年は経とうかというところなんですが。
「人を大切にする経営学会」の活動について
壹岐:本日は、お忙しい中ありがとうございます。
依然としてコロナ禍の中ではありますが、坂本先生は、日本中飛び回られて、講演をされたり、経営者の悩みを聞かれたり、視察をされたりしていらっしゃいますね。
坂本:先月は、北海道の釧路に日帰りしましたから。別に遊びに行ったんではなく仕事しに行って。
壹岐:先生も、数年前に法政大学をご退官されてから「人を大切にする経営学会」の活動がメインになってこられました。学会には、私も創設時から参加させていただいて、役員的なことも仰せつかっているんですけども、学会の活動も、大分定着化してきましたね、先生。
坂本:この学会を作ったのが、ちょうど10年近く前になりますけどもね。
「人を大切にする経営学」を研究する、広めるという学会ではあるのですが、創設した当時は、どうしたら業績を高めることができるかとか、どうしたらライバル企業を上回ることができるかといったような、それが経営学の常識の時代の中で、「この学会はなんですか?」って疑われたこともありましたけれども、今、壹岐さんおっしゃったように、本当に毎年毎年会員も増えていって、多くの人が知ってくれるようになって。完全に定着したかどうかは知りませんけども、一つの流れになっていることは間違いないと思いますね。
壹岐:この学会は、坂本先生が主導で設定された「日本でいちばん大切にしたい会社大賞」の審査母体であり、応募企業を審査して、表彰しているわけですけども、学会表彰だけではなく、国家大臣賞もだいぶ増えましたですよね。
坂本:もともとはね、経済産業省と一緒になって作りましたから、経済産業大臣賞はありましたけど、そのあと増えて、厚生労働大臣賞ですか。それから地方創生っていう大臣賞とかあって、今内閣総理大臣賞はどうかってね。今言った表彰も私たちの方からぜひ出してくれって言ったわけじゃなくて、むしろ役所の方から、大臣の方から、ぜひうちの方からも出していただきたいとそんな動きがあるくらいですから、陳情してもぎ取ったというんじゃなくて、やはり彼ら彼女たちもそういったことに事の重要性に気がつき始めたんじゃないのかなぁと。
壹岐:私も審査委員として、審査に参加させていただいてるんですけど、例えば経済産業大臣賞であったり、厚生労働大臣省であったりしてもですね、そういうお役所の決めた基準は全然入ってないんです。全部その学会というか、まぁ元は坂本先生なんだけど、ちょっと信じられないような項目で審査するわけですね。
坂本:この賞を作るときに、いろいろな研究仲間、大学の先生も含めてですけど、お話をしたときに、多くの人はですね、「この審査項目・審査基準に該当する会社がこの世にあるんですか?」と言われましたからね。
宮田:そんなに厳しいというか難しい項目なんですか?
坂本:一人の人間社員として、特に弱い立場にいる人々にとって、こういう項目があればいいかなぁと思うことをよくよく考えて、いつも心に宿っておりましたからね。
それをもとに基準を作ったわけですが、一般の方にとってはこんな神様のような会社がこの世にあると思えません、賞として作ったはいいけど該当する会社が存在しませんよといって、脅しをかけられたこともあります。
宮田:そこまでやっぱりこう今の日本では難しい基準というか・・・
坂本:当時はね。今はもうだいぶあれですけど。でも毎年毎年大きいのが審査委員を壹岐さんにもお願いしてあちこち行ってもらってるんですけども、表彰する会社は少ない年で10社ぐらいで、多い年で25、6社ですかね。
壹岐:最初の頃は、福祉法人的なところからの応募が多かったんだけれども、最近はもう全然違いますもんね。
坂本:最近は、もちろん株式会社が多いってことだけじゃなくて、大きい会社が増え出しているんですよ。しかも上場会社。
壹岐:今年なんかサントリーさんとか。化粧品のファンケルさんとかね。
坂本:補聴器作ってるリオンさんとかね。れっきとした上場会社ですよ。そういった会社が応募してきているっていう。
壹岐:最初に表彰された上場企業は、サトーホールディングさんだったかな。やっぱりTOTOさんあたりから流れが変わってきた気がしますね。
坂本:明日お伺いするケーズデンキさんとか何万人ですから。
壹岐:初期の頃は、坂本銘柄と言われる会社が多かったですけどね。例えばカンブリア宮殿なんかで取り上げられて有名になった会社も、元は全部坂本先生が本でご紹介された会社ですよね。だから、表彰先にもそういう会社が名を連ねてらっしゃったんだけど、最近はそういう坂本先生が発掘された会社じゃない会社が応募してこられたり、この賞に表彰されることを目指して会社を変えたり、それを励みに経営をされているっていう社長さんも結構いらっしゃいますね。
坂本:そうなんですよ。嬉しいなと思いますけど。この前も、今度の株主総会で社長になることに内定しているという社長さんに会ったら、「社長になったら日本でいちばん大切にしたい会社大賞を目指します。賞を取れるような会社にして、社員を幸せにしたいです」といわれましたが、そこはれっきとした上場会社ですよ。世の中本当にね、大きく変わってきている、地殻変動が起きているっていうかね。このことにもっとリーダーは気がついてほしいと思いますけどね。
壹岐:岡山でもね、萩原工業さんが数年前に経済産業大臣賞をお取りになられて。
宮田:本当に認知されてきたというか、浸透してきたのではないかなという気がしているのですが。
壹岐:そういう考え方が当たり前になれば素晴らしいですよね。私も、坂本先生に教えていただいて全国津々浦々の色んなそういう立派な経営をされている方を見てですね、やっぱりそういう方々とたくさんお目にかかってると、こっちが恥ずかしくなるんですよ。
先生のご著書の中に、よく書かれていますけど、お天道様に見られても恥ずかしくない経営をしなさい・・神様にご褒美をいただけるような経営をしなさい・・というようなことが、書かれているんだけど、まさにそういうことをしていらっしゃる会社に自分が見学に行くとですね、普通だったら、この会社のここが良いから真似してみようとかそういう感じになるじゃないですか、ところが、そんなのとても言えないですよ。こんなの絶対真似できないっていうか。なんでこの人こんな事できるんだろうって、手を合わせたくなるような、そういう会社を探して来られるんですよね。
坂本:たまたま先週、学会で実施している人財塾の社会人学生たち15、6人と、壹岐さんの故郷の鹿児島の会社4社ぐらいにお伺いしたんですよね。参加者は、れっきとした社長さんたちですが、その方々が、特に最初の会社に伺ったときは、会社に入ってから出るまでほとんどそれがポケットからハンカチだして、溢れる涙をぬぐうのが精一杯で、質問ももう声にならないという状態でした。会社見学ですよ。しかも見た方は社長ですよ。
正しいことをしている、神様からご褒美をいただけるような会社を見せること。見せる教育ですよね。教える教育というか見せる教育。見せることを通じて教えるというかね。それはやっぱり自分の体で覚えるというかね。場の空気で覚えるというか。
会社に入った瞬間、良い会社かどうかは、我々はプロだからわかるし、いつも行く前には意識的にメールじゃなくて電話をするんですけど、メールではその会社の本性は分かりませんけど、電話だとわかりますから。電話をたまたまとった女性社員の対応がお見事で。もちろん社長の携帯電話も知ってるんですけど、あえて意識的に電話を使うわけですよね。社長は素晴らしいけど会社がどうかはわかりませんから。また別の時に電話したら、また別の女性が出たんですが、最初の時と全く同じでね。私はその後社長に携帯電話で電話して、立派だと褒めてあげてくれといって。そしたら、お伺いしたときに「私たちのことを褒めてくださってありがとうございます、社長からも褒められました」といってましたけどね。たかが電話じゃない、たかが事務の女子社員じゃないということがよくわかりましたといって。その会社も、今壹岐さんがおっしゃった日本で1番大切にしたい会社大賞の受賞企業なんです。
宮田:もうまさにということですよね。やっぱり現地にいって直接声を聞いてというのが坂本先生にとっては大事なプロセスになってくるんですね。
壹岐:先生が見たり聞いたりってことじゃなくて、その会社の空気感に触れると、行った社長さんも、社員の方も、何も説教もせずに考えが変わるんですよ。
結局、教育って何かって言ったら、自分が掴み取らないと教育にならないじゃないですか。先生の一連のご著書にずっと書かれている事なんだけど、やっぱり、一般的に、多くの大学で教えている経営学というのは、基本的に、ちょっと言い方俗っぽい言い方ですけど、要するに金儲けの仕方を教えているわけですよ。経営学と称して。競争戦略とかマーケティングとか色んな言い方ありますけど、言ってみたら金儲けの仕方なんですよ。金儲けの勉強をして、それで、結果としてそこに働いてる人たちが幸せになるかというと、幸せにもならないし、長い目で見たら、金も儲かってないんですよ。一時的には儲かるけど。持続的に発展しないんですよ。そういう経営学が多いんですね。それで、やっぱり持続的に成長したり、持続的に発展したりするような経営学を、坂本先生が提唱し続けてこられているわけなんですね。
坂本:今、壹岐さんに言われてしまいましたけど、大学のビジネススクールでも私は教壇に立っていたときに、もちろん効果効率学とかね、そういう人殺しのような経営を私は教えませんでした。全く別の角度、180度違う経営学を教えたら、多くの学生からね、私たちは何を信じたらいいですかと言われましたね・・。当時は多勢に無勢でしたから、私のような考え方する人は少なかったですからね。今は少し増えてますけど、まだまだ少数派です。でもよくよく考えるとわかってくれるんですよね。
宮田:本当に今日は坂本先生にいろいろとね、お話を伺っていきたいと思うんですけれども、途中ですがここで一曲、坂本先生からリクエストを・・。
壹岐:去年はサイモンとガーファンクルの「コンドルは飛んでいく」だったけど・・。
宮田:今年は・・。
坂本:同じサイモンとガーファンクルだと思うんだけども映画で「卒業」ってのあったじゃないですか。あれ私すごく好きだったんですけど、その時の流れた曲がね、「 サウンド・オブ・サイレンス 」。
宮田:はい。お聞きいただきましょう。
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